昨年大ヒットしたアニメ「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」
興行収入が400億円を超え、日本映画史上歴代1位の大ヒットをしたのを記録したのを覚えている方も多いのではないでしょうか。
そんな映画ですが、実は映画を作っている制作者は儲からないみたいなんです。
本日は、意外と儲からない映画制作についてお話しします。
今回の参考本
今回のお話は、先日読んだ 牧村那須、山田哲久さん著書の「『宇宙戦艦ヤマト』をつくった男西崎義展の狂気」という本から参考にさせていただきました。
映画プロデューサーで、あの宇宙戦艦ヤマトの生みの親でもある西崎義展さん。
参考:西崎義展 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A5%BF%E5%B4%8E%E7%BE%A9%E5%B1%95
宇宙戦艦ヤマトの大ヒットで巨万の富を得たのですが、その後 事業に失敗。
そして自己破産、挙句の果てには刑務所に収監されるという転落の人生を歩みました。
破天荒な人生を歩んだ西崎さんと半生が綴られたこの本。
興味ある方は是非読んでみてくださいね。
意外と儲からない映画制作
2020年10月に公開された「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」
映画館で見たよって方も多いのではないでしょうか。
わたしも映画館で見たよ!
興行収入が400億円を超えて、日本映画史上1位に輝く超大ヒット映画となったことは、ご存じの方も多いですよね。
400億円もの興行収入を記録したら、製作スタッフの方々はみんな豪邸に住んでいるよね
そう思うかもしれませんが、実は映画制作会社はわたし達が思っているほど儲からないみたいなんです。
大ヒットしたのになんで儲からないの?
それは、映画業界に関連する3つの会社の収益配分に関係しているから。
映画業界に深く関係する3つの会社。
次のチャプターで詳細をご紹介します。
映画業界に深く関連する3つの会社
映画業界に深く関係する会社。
それは、以下の3つの会社。
- 制作会社
- 配給会社
- 興行会社
この3つの会社が、映画産業に深く関わっているんです。
では、それぞれの会社がどのような役割をしているのは?
詳しくご紹介します。
制作会社とは
映画業界に深く関係する会社、まず1つ目は 制作会社。
映画の制作会社といえば、ご存知の方も多いかと思います。
そう 制作会社は、映画の撮影をしたり、アニメでいえば映像を作ったりする会社です。
日本で一番有名な制作会社といえば、「千と千尋の神隠し」や「もののけ姫」「風の谷のナウシカ」「崖の上のポニョ」等、数々のヒット作品を生み出したスタジオジブリ。
参考:スタジオジブリ|STUDIO GHIBLI
https://www.ghibli.jp/
スタジオジブリは制作会社になります。
そして海外の制作会社で有名なのが、スター・ウォーズシリーズを手掛けるルーカスフィルム。
参考:Lucasfilm Ltd. | Lucasfilm.com
https://www.lucasfilm.com/
こういったところが制作会社となります。
配給会社とは
映画業界に深く関係する会社、まず2つ目は 配給会社。
次に紹介するのが、配給会社。
名前は聞いたことあるけど、何をするところなのか知らないって人も多いのでは?
配給会社って何をする会社なの?
配給会社とは、制作会社が作成した映画を宣伝したり、フィルムを各映画館に貸し出ししたりと、劇場(映画館)に対して営業をする会社のこと。
映画の配給会社として有名なのは、東宝や松竹、東映など。
日活なども配給会社ですね。
そして海外だと、ワーナー・ブラザーズやソニー・ピクチャーズなど。
参考:【ワーナー公式】映画(劇場作品)|一覧
https://warnerbros.co.jp/movies/list.php
参考:ホーム | ソニー・ピクチャーズ公式
https://www.sonypictures.jp/
こういった会社が配給会社になります。
興行会社とは
映画業界に深く関係する会社、最後3つ目は 興行会社。
最後に紹介するのは、興行会社。
興行会社とは、映画を上映する会社。
つまり、映画館(劇場)が興行会社となります。
ちなみに、MOVIXや、TOHOシネマズ、TOEI THEATERSなどの映画館名を聞いたことありませんか?
近所にMOVIXあるよ!
MOVIXは松竹が運営していますし、TOHOシネマズは東宝が、そしてTOEI THEATERSは松竹が運営しています。
そう、配給会社が劇場(興行会社)を運営していることもあるんですよね。
収益配分はこうなっている
制作会社、配給会社、興行会社。
映画業界に関わる3つの会社ご紹介しました。
では、この3つの会社の収益はどのようになっているのでしょうか?
わたしたちが映画を観る際に、劇場に支払いチケット代は興行収入になります。
仮に、「SuperBEATCLUB」という映画を10万人が1500円のチケット代で見たとすると、興行収入は以下になります。
10万人 ✕ 1500円 = 1億5000万円
興行収入は1億5000万円ですね。
この1億5000万円から、まず最初に興行会社(映画館)が取り分を持っていきます。
契約の条件によっても多少の違いはありますが、興行会社(映画館)の取り分は約50%ほど。
つまり、1億5000万の半分なので、7500万円が興行会社(映画館)の取り分というわけですね。
そして、残りの7500万円を配給会社と制作会社が分けます。
まずは配給会社が、宣伝や広告などのかかった費用を差引き、そこから手数料として約30%ほどを取るんだとか。
映画によって宣伝や広告などにかける費用は違うので何とも言えませんが、一般的には興行収入の35%〜40%近くを配給会社が取るそうなんです。
そして残りが制作会社の取り分になるんですが…
ここまで読んで頂いてもう分かりますよね。
そう、制作会社の取り分は10%〜15%ほど。
仮に「映画 SuperBEATCLUB」の興行収入が1億5000万円あったとしても、映画を制作したわたしには1500万円から2250万円しか入らないんです。
当然ながら映画は1人で制作するわけではありません。
多くのスタッフと共に制作します。
鬼滅の刃のように日本映画史上に残るぐらいの興行収入を得られれば話は変わりますが、一般的な映画では制作会社はとても厳しいんでしょうね。
儲かるのは配給会社?
では、映画産業は儲からないのか?
映画産業って儲からないの?
確かに、近年はNetflixなどに押されて映画史上全体が低迷していきていますが、しっかりと儲けているところもあるんです。
それは東宝や松竹、東映といった配給会社と興行会社を兼務する配給会社たち。
先程、ご紹介した通り、興行収入の約50%を興行会社である映画館が取り、そして残りの30%以上を配給会社が取ります。
つまり、興行収入の90%近くを東宝や松竹、東映といった会社が取っていくんですよね。
新型コロナウイルスの影響もあり、ここ2年ほどは赤字経営となっているようですが、コロナが収束すればガッポリと儲かるのかもしれませんね。
さいごに
ということで、本日は 意外と儲からない映画製作についてお話ししました。
今回のお話 いかがでしたでしょうか。
過酷な労働の割には、適正な対価(給与)が貰えない映画制作現場。
そんな厳しい制作現場の状況について、経済産業省のホームページに調査結果が出ていました。
参考:将来の映画人材創出に向けて映画制作現場実態調査の結果を取りまとめました (METI/経済産業省)
https://www.meti.go.jp/press/2019/11/20191122004/20191122004.html
この調査結果によると、制作現場で働く方々は収入は決して高くないようですし、
また、フリーランスの方はこんなことも経験したことあるんだとか。
これからの日本の映画産業の発展も考えると、制作現場の収入面と労働環境を是非 見直してもらいたいところです。